2019年3月27日(火)に株式投資クラウドファンディング「FUNDINNO(ファンディーノ)」によるセミナーが開催されました。
登壇者は、ファンディーノを運営する『日本クラウドキャピタル』COO 大浦学さん。そして、著名なファンディーノ投資家でもあり、エンジェル投資家でもある森田均氏です。
この記事では、セミナーで語られた情報を読者の皆さんに共有いたします。
これからファンディーノを利用しようと考えている方や、現在ファンディーノで投資をされている方も、今一度ファンディーノのサービス概要に立ち返り、ファンディーノが社会課題に対してどのようなインパクト(影響)を与え解決しようとしているかを知りましょう!
きっと今以上に、ファンディーノ に対する親近感がわくのではないでしょうか?
初めに: この記事の概要
下記の項目を押すことで、読みたいところに飛ぶことができます。
1. ファンディーノとは?
(1)ファンディーノ が解決する社会的課題
(2)日本と海外のベンチャー投資の現状
(3)ファンディーノが実現した新しい投資のカタチ
(4)ファンディーノの今後の施策
(5)エンジェル投資家に利用してほしい「エンジェル税制シミュレーター」とは?
2. エンジェル投資家「森田均氏」の投資スタンスとは?
・森田均氏とは?
・エンジェル投資をする際の見極めポイントは
・べンチャーへの一言
・エンジェル投資家の心得とは?
1. FUNDINNO(ファンディーノ)とは?
ファンディーノは資金調達を行いたい未上場企業(中小企業やベンチャー企業など)と、そこに投資したい投資家をマッチングするプラットフォームです。
投資家は一口10万円程度から未上場企業に投資し、株主となることができます。対して企業側は、資金調達によって現状の事業をより拡大できるようになります。
より詳しいファンディーノのメリットやデメリットなどについてはこちら「FUNDINNO(ファンディーノ)を起業家・投資家目線から解説!口コミ・評判も!」の記事を参考にしてください。
今回の記事では、「このファンディーノがどのような意図で開始されたのか?」「社会的にどのような意義があるのか」について、セミナーの内容を含めながら深堀していきます。
(解説中の大浦氏)
下記の順で解説していきます。
- ファンディーノが解決する社会的課題
- 日本と海外のベンチャー投資の現状
- ファンディーノが実現した新しい投資のカタチ
- ファンディーノ今後の施策
- 投資家に利用してほしいツール「エンジェル税制シミュレーター」とは?
(1)ファンディーノが解決する社会的課題
現状の課題として、「家計から非上場企業へ直接投資ができる機会が少ない」という問題があります。
(セミナー配布資料から抜粋)
東京証券取引所(東証)は、ご存知の方も多いのではないでしょうか?東証では株式を購入することで企業の株主になれますが、それはあくまで上場企業に限定されています。
現状日本では、上場企業への投資ルートはありますが、非上場企業への投資ルートはベンチャーキャピタルからの出資など限定されており、ほとんど存在しません。
結果、投資資金が上場企業ばかりに集まってしまう構図となっています。
(セミナー配布資料から抜粋)
本来は、志高いベンチャー企業に投資資金が集まった方が良いはず。志半ばで資金が枯渇して、ビジョンを放棄してしまうのはとても残念なことです。
(2)日本と海外のベンチャー投資の現状
日本におけるベンチャー投資が少ないという事実には、明確な資料が存在します。下記は、セミナーにて公開された資料です。
日本は、米国、中国に比べてベンチャーへの出資額が圧倒的に低くなっています。
もちろん、GDPに対するベンチャーの出資額の比率を見てみても、圧倒的に日本が少ないです。
(セミナー配布資料から抜粋)
また、米国におけるベンチャー投資の対GDP比率は0.28%に過ぎませんがGDPに対する貢献度は20%以上だという点にも注目です。
つまり、ベンチャー投資はGDPという数字で見ると小さいものかも知れませんが、社会に与えるインパクトはとても高いと言えます。
日本でもベンチャー投資が盛んになれば、より経済も成長・発展していくと考えられます。
(3)ファンディーノが実現した新しい投資のカタチ
このような「家計から非上場企業へ直接投資が出来る機会が少ないからベンチャーへの投資が盛んにならない。よりベンチャーへの投資を促進し、社会をより豊かにしたい!」と開始されたサービスこそ、株式投資型クラウドファンディング「ファンディーノ」です。
ファンディーノというプラットフォームを利用すれば、ユーザーは誰でも家計から直接的に非上場企業の株主になることができます。
この画期的な投資プラットフォームは、大きな社会的インパクトを市場へと与えています。
近況では、シーズ段階(アイデアベース)で5,000万円という資金調達を行った「nommoc(ノモック)」とういう企業もありました。
アイデアベースで多額の資金調達に成功した事例は少なく、話題となりました。
最近では、2回目の資金調達をファンディーノで成功させた企業も増えています。少しずつ、ファンディーノを通して非上場企業に資金が流れていると分かりますね。
また、ファンディーノには資金調達の他にも企業の価値を測る基準としての役割もあります。
ファンディーノの会員数は15万人以上。(2019年4月現在)
ファンディーノでは、案件ごとに上限投資金額が決まっています。
つまり、特定の1人から多くの投資は受けられない仕組み。満額の達成には、結果として多くの方から資金調達が必要となり、多くの投資から資金調達ができた企業は、社会的にも必要とされているビジネスだと判断することが可能です。
ファンディーノには、このように企業価値を測る役割もあるのです。
(4)ファンディーノの今後の施策
現在好調な事業拡大を行っているファンディーノですが、課題点もあります。
それは、非上場株式の流動性が低いことです。
投資家が投資による金銭的メリットを享受できるのは、具体的にはExitのタイミングとなります。
Exitは日本語訳で「退出する」となりますが、ビジネス用語では、IPO(新規上場株式)やM&A(合併&買収)などを言います。
逆に言えば、Exitまでは投資家は非上場株式をずっと保有していることになります。
中には、売りたいのに・・・というニーズもあることでしょう。そんなときに買い手がつかないのは、少々問題ですね。これが理由で非上場株式はハイリスクの金融商品とも言われます。
この仕組みを解決しようと、ファンディーノは新たな仕組み作りに着手しています。
それは「非上場株式の売買市場」の開拓です。
(セミナー配布資料から抜粋)
具体的な姿はまだ明らかにはなっていませんが、非上場株式をある一定の場所で売買できるようにする仕組みを作るということです。
暗号資産の根幹である、ブロックチェーン技術による株主名簿の信頼性の担保。また、ファンディーノが持つ豊富なノウハウを生かした株価算定の仕組みなどを考案中とのことです。
もしこれが実現すれば、東証に変わる新しい金融商品のプラットフォームが誕生するかもしれません。とても楽しみですね。
仕組みが完成し、日本のベンチャーにより資金が集まる仕組みができれば、日本経済もより豊かになるはずです。
(5)投資家に利用してほしいツール「エンジェル税制シミュレーター」とは?
最後に、ファンディーノの注目サービスのご紹介がありました。ぜひ、投資家の方には利用してほしいとのことです。
それは「エンジェル税制シミュレーター」です。
エンジェル税制とは、ベンチャー企業への投資を促進するためにベンチャー企業へ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度です。ベンチャー企業に対して、個人投資家が投資を行った場合、投資時点と、売却時点のいずれの時点でも税制上の優遇措置を受けることができます。(引用:中小企業庁)
FUNDINNOでご紹介するベンチャー企業の中で、エンジェル税制の対象となる企業に投資した際には、投資した金額に応じて『投資した年に受けられる所得税』の優遇措置が受けられます。
加えて、フェンディーノはどれくらいの税負担を軽減できるかを判別できる「エンジェル税制シミュレーター」を独自に開発、提供しています。
これからファンディーノで投資を考えている方は利用することをオススメします。
2. エンジェル投資家「森田均氏」の投資スタンスとは?
Fundinnoを運営する『日本クラウドキャピタル 』COO 大浦学さんの事業紹介のあとは、著名なエンジェル投資家「森田均氏」を招いて対談が行われました。
対談では、森田均氏が「どのようなスタンスで投資する企業を選んでいるのか」を垣間見ることができました。
ここでは、それを皆さまに共有したいと思います。下記の順で解説していきます。
- 森田均氏とは?
- エンジェル投資をする際の見極めポイントは?
- ベンチャーに対する一言
- エンジェル投資家の心得とは?
森田均氏とは?
(左=森田氏、右=大浦氏)
森田均氏は、早大理工卒、東邦生命保険会社入社。2004年ピーシーエー生命保険社長に就任し、2006年マニュライフ生命入社、2012年には社長に就任。現在は多数の顧問に就任。金融リテラシー(金融知識・判断力)を高める必要を掲げマニュライフ生命代表執行役の時に「全国高校生金融経済クイズ選手権」に協賛。日本における「ライフデザイン、ファイナンシャルプランを提案」している。(引用:セミナー配布資料)
ファンディーノでは、8〜10社ほどの投資をしているようです。(2019年3月現在)
エンジェル投資をする際の見極めポイントは?
(森田氏と大浦氏の対談の様子)
エンジェル投資家として活躍する森田均さんですが、どのようなポイントを見極めポイントとしているのでしょうか?気になりますよね!
話を伺っていますと、大きく次の4点にまとめることができました。
- 数字とどれくらい向き合っているか?
- 2つの社会的インパクト性
- 経営者の経営姿勢やリーダーシップ
- サポーターがどれくらいいるのか?
数字とどれくらい向き合っているか?
「基本的に数字はあまり重要視していません。」
「見るとするならば、どういう仕組みでどうマネタイズしているのか?数字で出ていることと言っていることの平仄があっているのか?数字は置こうと思えば好きに置けるので、その根拠はどこなのか?どういうフィールドで何をしようとしているのか?それが最終的に数字となって出てくるので注目します。」
「3年、5年で明確にExit!などとかあまり思わず、あくまで5年、10年くらいの枠の中で戻ってくればいいかなぁという投資スタンスです。」
「ビジョンだけでは投資は集まらないので、やはりある程度は数字にもしっかり向き合っていかなければと思います。」
2つの社会的インパクト性
「インパクトは色々あると思いますが、目指しているビジネスモデルから広がる新しい世界。つまり、マーケティング的には市場がどれくらいでかいか?それはマネできない独自性のあるもの?などの数字的な社会的インパクトを見ます。」
「もう一つの社会的なインパクトは社会的貢献度合い。どのような付加価値がついた新しい社会をクリエイトして行くのか?市場があることを前提に、これってやっていいことなのか悪いことなのか?社会的正義と言えるかもしれませんね。」
「例えば、社会福祉は社会的に重要ですし、高齢化社会を背景に市場も広がっていくと言えます。そのようなものでうまくビジネスができれば、経済的合理性も正しいし、市場も拡大するし、社会的にも意義があると言えます。」
経営者の経営姿勢やリーダーシップ
「こちらの方を重視します。」
「なるべくフェイスブックや何やらで、どんな会社なのかどんな経営者なのか?と情報をわかる範囲で集めます。経営者のため、人や熱意は対面すればだいたい分かりますが、さらに重要だと考えているのは次の点です。」
サポーターがどれくらいいるのか?
「ビジネスの道には、必ず凸凹があるはずです。そこで見ているのは、どれくらいその方をサポートするサポーターが金銭とは関係なく直接か間接的にどれくらいいらっしゃるのかと探ります。直接お会いする機会があればですが。」
「サポーターがたくさんいれば、その人が何か困ったときに聞くことができます。」
「企業はどんなに大きくても、一つ一つの方向性は少人数で決まっているはずです。重要なのはそれを理解してサポートしてくれる人たちです。」
「経営者は、口で全てを伝えることが難しいと思います。そんなときでも信じてサポートする人たちがどれくらいいるのか?これは見つけるのが難しいですが、重要な点です。」
「5年、10年で苦しいときもあるかもしれないが、このネットワークがあればやっていけるだろう。ということを思ったりします。」
ベンチャーに対する一言
「このようなこと言うとビジネスはできないのですが、いくらアイデアが斬新であろうとデカイ会社がポンと出てきたら一発で凌駕される可能性がある。それをどのように捉えられているのか、リスクに対するバランス感覚が重要だと思います。」
エンジェル投資家の心得とは?
「あまり過度な期待を持たないことです。」
「IPOをすればたくさん儲かるのかもしれませんが、そこまでどれくらい長いのかは分かりません。なので、そのようなリスクがあるんだということを投資家は認識すべきでしょう。」
「投資と聞くと博打などのイメージがありますが、私たちは毎日お金のやり取りをしていますし、金融は身近なものです。その延長にエンジェル投資がある。その結果として、自分ができない分野、例えばガンの治療やなどに貢献することで結果的に社会的に大きなインパクトを与えられたらという気持ちです。」
「お金の面と心の面(満足度)を自分の中でうまくバランスを取ること。そのためには、1年や2年では成し遂げられないことを認識すべきでしょう。」
まとめ
セミナー後には、受講者からも多数の質問が飛び交い、大盛況となりました。
ファンディーノの経営者の方が、どのような姿勢で事業を行っているかを理解することができたので、弊サイトとしてより応援したいと思った次第でございます。
これからファンディーノで投資をしようとしている方も、良い親近感が湧いたのではないでしょうか?
また、森田均氏の重要視しているポイントを聞いていますと、やはり一番大事なのは人なのだと実感します。
事業を創っているのは人です。市場の大きさや独創性などもありますが、エンジェル投資の真髄は『最後は人に投資する』というところなのかもしれませんね。
ファンディーノの発展によって、日本のスタートアップやベンチャー業界がより盛り上がることを願っています。